育てる人と、育つ鮎。


山北のあちこちで田植えが行われている5月は、山菜取りシーズンも重なって、大わらわです。

そんな新緑真っ盛りの中、車を走らせると、小俣集落と岩石集落の間に「渡っていいのかなあ、渡ってみたいなあー」といつも通るたびに思わせる、超いい感じの吊り橋があります。
鮮やかな緑の中で映えまくって、今日はなんだかさらにいい感じ。ルネッサンスかよ。


旅情感そそりまくり。(旅行中じゃないけど)

その日は、そこの道端に車が一台停まっていて。
「誰かいる!」

というわけで、渡ってみることにしました。

びよんびよんびよん。

うっは!楽しい~!吊り橋からもし落っこちても、こんなきれいな小俣川だったら大歓迎!
と、ムダに弾みながら進むと、(怒られるかな…?)
渡った先には細長い平屋の建屋がいくつか並んでいます。おっと扉が開いている。
以前、ここが稚魚を育てる施設なんだと聞いたんだけど、今の時期は稼働してるっぽいぞ!

「こんにちはー」

あれ?誰もいない。
水がパシャパシャ落ちるいけすの仕組みがおもしろい。水中の酸素供給っすね。
お魚たくさんいる!

隣の建物に行って「こんにちはー」

あれ?ここにもいない。ものすごい数のお魚がいる。あなたは鮎ですか?

「こんにちはー」

「おう!」「あの、見せてもらってもいいすか?」「おうおう、いいぞー」
と快いお返事を下さったのは、大川漁協の組合長、渡部さん。

渡部さんは餌やり中で、足元は大フィーバー中。
あまりの鮎のピチピチ感にしばらく見とれてしまったのですが、
渡瀬さんはあっちでパラパラ、こっちでパラパラといけすの上の渡し板をウロウロ。
かなりの時間をかけながら、ちょっとずつ、あちこちで、餌をやっていく。

私だったら、力士の塩みたいにズザッと大胆に餌を撒いてしまいそうなのに、
なんでこんなに面倒くさい方法をとってるんですか?と聞くと、
一度にどっさりあげてしまうと、競争心(本能)が弱まってしまうからなんだとか。


生きる力を育み中の渡部さん。満遍なく、ちびちびパラパラ。
全部のいけすの餌やりが終わるのに1時間以上かかる。
この時期は組合員さんが常駐して、毎日何度もちびちびパラパラを行うそうです。

建屋を移るごとに、バケツに足を突っ込んで、長靴に着いた土などを落とします。
雑菌がいけすに入るのを防ぐためだそうです。

たまに抜けなくなったりする。(笑)

「あなたも入ってもいいんだぞー」とおっしゃってくれたので、

サブサブしたら、案の定、やりすぎて靴濡れました。今度は長靴履いてきます。

もりもり餌を奪い合う稚鮎は、キラキラとひるがえったり飛び跳ねて、
湧き出す命みたいにたくましくて、可愛らしくて。
渡し板のうえでまた、見とれてしまった。

彼らが自然の川へ旅立つのを見たくって放流時のお手伝いを申し出たら、渡部さん、快く了解してくれました。やったー!


たのしみだな~!

帰りもつい、びよんびよんしました。
こんないい日に、ビヨンビヨンしないほうがおかしいです!愛情たっぷりビヨンビヨン。

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