ゼンマイ採り入門。


「ゼンマイが一年の稼ぎだったさげ、まんず若え頃はどこまでも行ってはデデンと採って背負ってきたんだ」

と、さらっとした日常会話なんですが、実は結構なことだったりする、山北の秘境、”山熊田”。

「へー、そうなんですねー。」なーんて相づち打ってますけど、そんな私は全くピンときてないその景色。
やってみなくちゃわからない!
というわけで、ゼンマイ採りシーズン最盛期の今、一緒に連れて行ってもらいました。

ふふふ。スパイク足袋で無敵だぜ。

たまたま手に取った超でかいテゴ(背負いカゴ)を荷縄で背負うやり方を教えてもらったんですが、
背負ったら、元ゼンマイ採りクイーンのお婆ちゃん爆笑。ゼンマイ採り初心者のくせに、どんだけ採ってくる気なんだ的な。
よーし、このテゴに「参った」と言わせたるぜー!(←無知ゆえの自信)

さっそく、開始!
今回も、やっぱりそうなんですね…。
そこ、行けるんすか?!という藪の斜面を容赦なく進みます。

急斜面は藪や柴を掴みながら登っていきます。沢などを渡るときも、ターザンロープさながらに枝を活用。アーアアー。
なので、折れない枝や草木を見定めることこそ、命綱。(私はクロモジにかなり信頼をおいて贔屓につかましてもらいました)

雪崩跡の斜面はすっかり地滑りして丸裸だから、手がかりがなくて困ります。「熊と同じようにして、四つん這いでいけ」という表現が、ものすごく山熊田っぽい。

こういうところに生えてるよ。

生まれて初めて、ゼンマイに男と女があることを知りました。
柔らかくて葉っぱも薄い、くるくる部も平たいのが女ゼンマイで、食用。
硬くてくるくる部が球状なのが、男ゼンマイ。でも子孫を残すのは男ゼンマイ。
たまにトランスジェンダーゼンマイもいます。
こんな山奥で、女らしさとは何か、種とは何か、を問われた気分に。


お婆ちゃん爆笑の巨大テゴがいっぱいになったよ!(みんなで採ったから)

一緒に行った現マタギと元マタギは、鉈で山の整備をしながらゼンマイ採り採り、3人で5時間、このテゴ山もり3~4杯分になりました。すごい!と思ってたら、いつもはこんなものじゃない、と。

今回驚いたのは、結構山深くまでゼンマイ泥棒が入っていたようで、盗られた跡がそこかしこに。
​カモシカなどの野生動物の食べ跡じゃないし、足跡で人間だとわかるのはマタギの特殊能力か。
相当な被害にドン引きしました。本気で盗りにきてるレベルだもの。
そんなに欲しけりゃ山買いなさいよ、もう大人なんだから。

そして私も今度は山の整備も少しは手伝えるよう、マイ鉈買おう。
ゼンマイは勝手に出るけど、それだけじゃなくて、出てくれるように人間の手で山を整備しているのです。
それくらい山熊田では大切なゼンマイ。
そしてもし私が一丁前になったら、さんぽく地区ゼンマイ採り最年少なんじゃない説が浮上。
高齢化の波…。しかしさんぽくの高齢者は超元気っす☆


大きく育ってくれて、嬉しい。

そして、平地育ちで山など全くわからない、むしろ眺めるものだと思っていた「山」で、
去年は「虫キモい」「藪やだー」「進み方わかんないー」「おっかねえー」と山ど素人でビビり腰炸裂だったのに、


今年はこの余裕。
すこし順応したような実感が嬉しいです。

ヘトヘトで山からゼンマイを背負って下りたあとも、まだまだやること盛りだくさんで。
こいて茹でて干して揉んで、と続きます!

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