トコロ変われば、山の芋。


昨年の秋のこと。

念願の山芋掘りに同行させてもらいました。

今考えたらだいぶ恥ずかしいのですが…。
道端の斜面とかにツルが伸びてたら掘る!くらい結構ナメた考えを漠然と持っていたわけで…。
そんなわけなかった!山はだいたい誰かの山なのです。勝手に掘っていいわけなかった!
そりゃそうだ。私も皆さんも気をつけましょう。


というわけで、「マジでそこ降りるんすか?!」と全然道路っぱたではない山道の斜面をぐいぐい下ります。
斜面は生えてる木や草を掴んで、手掛かりにして進むっていうのは、山北に来て覚えました。
お~、こわ。
へっぴり腰には自信があります。

そんな斜面を進み、沢沿いに歩き、山芋のツルを見つけたら掘り進めていくわけですが、

その時にハズレ扱いされていたのが「トコロ」と呼ばれる植物でした。

山芋(自然薯)に似た葉っぱですが、自然薯よりも幅広です。
掘らなくてもだいたい見分けはつくので、無駄掘りはしなかったのですが、
村に戻ってから、
「トコロも掘ってくればいかったんに」
「食えねえもん採ってもしょうがねえろ」
「いやほんに美味いんだよ。胃の薬にもなるし」
「いーや、いらねえそー」

というカンバセーションがありました。
気になるわあ…。まだ見ぬ謎の食材(食材なのか?)トコロ。
なんなんだトコロ。賛否両論トコロ。

そんなやりとりを忘れかけた2月、

山熊田・祈祷念仏という一大イベントに登場!まさかの主役級!!!
お初にお目にかかります!
山に自生しているトコロを掘ってきて、ただ水で茹でたもの。
​すごい量、これ、掘るの大変だったでしょうに…。

ネットで調べると「食用不向き」と書かれている場合が多いのですが、
この山北ではアク抜きせず、苦味も楽しんでいます。

トコロ(野老)」の根っこ。

初めて食べた!苦い!にっがーい!!!!!!
でも苦さの向こうでほのかに甘い。
かなりのデンプン質でもちもちです。指もデンプンですぐカリカリになります。
熊の胆までとはいかないまでも苦くって、サツマイモに似た甘みもあり、なんでかクセになります。

茹でたトコロの皮をむいて素朴にそのままいただくのですが、
なんでだろう…。大人になった気分さえ味わえる不思議。
この食べ方以上に美味しくいただくアイディアがまったく浮かばない、野趣を存分に楽しむこの山の芋、
生えている地質などの環境によって、苦み甘みの個体差も大きい、気まぐれさもおもしろいお芋です。


しかしすごい大人気っぷり!
みんなで美味しくいただき尽くしました。

東北ではアク抜きして食べる地域はまだ残っているらしいのですが、
もしかしたら、全国でこのアク抜きなしでワイルドにいただく食文化が残っているのは、山北だけなんじゃないかな。

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