文化財履いて山を行く。


村上市山北地区。海も山がギュッとあります。
すごく変な地域でして、海側は全く雪がなくて晴れていても、ちょっと山側へ進めば雪だしすごく積もっているし、で
18kmくらい車で走っただけで、3ヶ月ほどをタイムスリップしている気がするほど変なんです。

まだ雪が残る山熊田で20年ほど前から行われている「かんじきトレッキング」に行ってきました。
今回も案内人は山に詳しい地元山北人や、山熊田マタギのみなさんです。

晴れた!誰だ?!晴れ男。

最近はスノーシューでのトレッキングなんてイベントも多発しているようですが、
さすがマタギの里・山熊田、伝統的なかんじきです。横文字なんていらない。


最近はスパイク付きの長靴なんかで履くと、天然素材のかんじきはすぐ痛みます。
ちょっと工夫がしてあって、靴裏に当たる部分は耐圧ホースで柔軟に対応。
今はもう、かんじきを作れる人がほとんどいないので、貴重な文化財を履くかのような緊張感。


かかとが遊ぶように、でも外れないように、足の甲と足首を紐で結びます。

作ったご本人に素材を聞いたら、さすがマタギの爺や。ぜんぜんわからないっす木の地方名。
「ヤマガってなんだ?」と調べたら、ヤマボウシのことでした。

さてさて、

しゅっぱーつ!今回は20名ほどのご参加。
今回は、林道大毎山熊田(おおごとやまくまだ)線の道がなくなるところまであたりを目指します。

この時期は茂る草木もなく大変見通しがきくので、いろいろなものが発見できて、やたら楽しい!

山繭蛾(天蚕)の繭、発見。薄緑色できれいででかい。細くて上品な光沢の糸が採れます。

おおー!

ニホンカモシカの足跡!蹄、でっかい!
「まだ新しいぞ。ここらにまだいるな」とマタギ衆が色めき立つ。
天然記念物だから獲れないんだけど、見たい!モコモコなんだろうなあ。
他にも、タヌキ、キツネ、テン、ウサギ、サル、ネズミなどなど、たくさん足跡がありました。
でも熊の足跡はなかったー。残念がっていいのやら、喜んでいいのやら。


除雪車が入らない林道は、かんじき初心者の私にはちょうどいいルートです。
ぜんぜん雪に埋まらない!超ラク!かんじき発明した人すごいっすね!!!


折り返し地点付近には湧き水が。うんめ~。
剛造山(636m)の麓にあります。
夏場は茂みの中に隠れがちなこの湧き水ポイント、こんなに広々してる水場だったのか!

山熊田マタギたちが毎春「熊巻き」という猟法で山に入る狩場が、向かいに見えました。

狩場。私が見ても何が何やら…。


「去年はあそこの松のある◯◯沢の上からの…」

「そこからこういくとここに出るだろ?」

「そうでねえよ、こう行けばこうだ」

と、山を熟知した山熊田マタギの待ち場(鉄砲役)が、勢子(追い立て役)にいろいろ確認したりして地形の勉強会が突然開催。
山の各所には様々な呼び名がついていて、わからない単語が飛び交うワンダー。外国か?呪文か?
玄人すぎるこの会話が理解できる日が来るのかな…。
まあ、女だからあまり関係ないんだけれど。
(女は熊狩りに行っちゃダメ。山の神さま怒るから)


帰り道はルネッサンスな木漏れ日が。うわー、絵みたい。

景色もすごい!

雪解け前の渓谷、きれいだなー。どこもかしこもきれいだなー。ああもうきれい。
前回の残雪トレッキング同様、絶景慣れしてきてる自分が憎い。

村へ戻ると、さんぽく生業の里の駐車場っていうか道?(笑)で、みんなで一服。

ああもうなんか、豪快っすねっ!!!

熊汁、湯豆腐、油汁、焼きベロベロ餅など、ここならではのあったかくてめちゃくちゃ美味いお料理が、
「寒空の下でも関係ないぜ!」と言わんばかりに、参加者もスタッフもみんなまとめて温めてくれました。
臼と杵で餅つきまで!

山のおもしろさがまたちょっとわかった気がしてます。
あー、おもしろかった~! 毎年行きたい!

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