神楽の正体【大代】


村上市山北地区では、まちづくり協議会が発行するイベントカレンダーがあります。
全48集落の行事や、地区内で行われるイベントが細かく書いてあって便利なのですが、

春と秋のページを真っ黒に染める「神楽」の数々に、謎は深まるばかりでして。

ほら、神楽だらけ。
でも神社に行っても幟が立っているだけだったりして。
「ああ、村の祭りだよ」と言われたり。

「神楽」と聞けば、例えば高千穂の夜神楽のような感じだったので、各集落やってるの?!と驚いたもので、
「祭り」と聞けば、山車や神輿や獅子舞で盛り上がり、テキ屋の出店が並ぶあれっすか?となる。

きっと私のまだ知らない「神楽」で「祭り」なんだ!
村上市大代集落の神楽をお手伝いさせて頂く当日、
「だいたい10時頃からなんだけど、朝から来て」
と総代さんのお宅にお邪魔すると、いきなりみんなで飲んでる!
朝から飲み会???と戸惑っていると、お神酒でした。
ですよね、そうですよね、ものを知らずにお恥ずかしい。
お神酒の並ぶテーブル中央にドドンといらっしゃるこれ、なんだろう…。

この辺りで「からこ」と呼ばれているお供え物だそうです。直径30cmくらいあるよ。
うるち米を粉にして、水で溶いたお餅のようなものだそうですが、生!
これ、どうするんですか?と聞くと、お供えした後、神主様が持ち帰られる、とのこと。
…うぐぐ、私の質問が悪かった。
食べるのかなあ。食べるとしたらどうするんだろう?蒸すのかなあ?生のまま?味付けとかは?って今度聞こう!

さて準備だ!と総代さんについていく。

颯爽と笹を担いで境内へ!

杉林の奥へ参道が続きます。

大代の神社の神様のお話を以前、公民館報さんぽくでちらりと読んだのですが、かなりチャーミングでして。

神様が子供達と川遊びをしてたら、大人が恐れ多いからやめなさい!と子供を叱ったところ、
楽しんでた神様がへそを曲げてしまって、結果、流行病が横行し、
「ごめんなさい、子供とまた遊んでください」となったら無病息災に!と、大変子供好きの神様のようです。

そんな神様のおわす境内入り口に、

ぶくぶく水!すごい!!なんだこれ!!!

神社の横にはお稲荷様が。…って、

壁一面、熊の爪痕ー!!!ミツバチが巣を作ってしまったそうです。
油揚げじゃなく蜂蜜でした…。


しめ縄も新しくするよ!

神社のなかではお供え物がずらり。
神主様に色々教えていただきました。


お米、お神酒、お魚、野菜、果物、と並びますが、一番大事なのはお塩と水だそうです。


祝詞。たくさんの神様の名前がズズズイーっと!

そしていよいよ、待ってました!
神主様が面を準備し、顔に当て、

艶やかな舞!!!
神様みたいだ。神々しいとはこのことですね。
昔は、大人になる証というか、成人式の儀式のようにして、この神社で若者が大人たちと一緒に酒を飲んだりして一晩明かす「夜篭り」が行われていたとか。
ここで大代の皆さんは大人になってきたんですね。

舞など神楽が一通り終わると、神社の中で、お供えしていたお神酒をみなさんでいただきました。

神社の片付けを終え、公民館に行って直会。


御神符や御幣、お下がりのお米(御洗米)などをお部屋の隅っこで準備する大代レディー。
ここでは、お米の包み方はてるてる坊主風にねじったり、昔の粉薬を包むように折り込むタイプと、
半紙に包めていれば、まあよし!としていました。

初めて見ることばかりで、初めてさせてもらうことばかり。
身の丈のお祭りの温かさに驚いていると、
実は現在、だいぶ簡略化されていて、以前は家でご馳走を作り餅やふかし(お赤飯)を作り、
もっとずっと大変だったそうです。

その名残を丁寧に受け継いでいくように、

総代さんのお宅で第二次直会!

なめこ汁も、くるみ和えも、わさびも、カブ漬けも、そしてふかしも、
昔ながらのお祭りのお膳を作ってくださっていました。
奥様、お疲れさまでした!美味しかった~!

さんぽくの味は一見地味で素朴なようだけれど、
手間と恵みと歴史が猛烈に詰まっっていて、後からじわじわずんずんボディに効いてきます。

私はこのさんぽくの味で育っていないのに、
原風景を見ているかのように沁みるのは、
日本人のDNAが知っている味、ということなのかな。
字の通り「美しい味」でした。

大代の皆さん、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!
各集落の皆さんも、お神楽、お疲れさまでした&おめでとうございました!!!

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