『熊と狼 -人と獣の交渉誌-』


来る2017年9月16日(土)から11月19日(日)まで、

東北歴史博物館(宮城県多賀城市)にて、マタギ色100%の特別展が開催されます。

 

その名も『熊と狼』

 

《詳細は上記画像をクリック!PDFファイルで開きます》

 

 

『神のつかいは ときに人をおそう』

というキャッチコピーもまた鬼気迫る凄みがあって、息を呑む。

 

さんぽく・山熊田に暮らしていると、全然夢物語ではない、むしろリアルな感触で的を射てる言葉だな、と、つくづく思います。

今年は特に熊の被害が多かったですし。

 

それに、昔から日本人が営んできた暮らしの有様、自然と共存していくその感覚など、

退化してしまったかもしれない私たちのDNAの記憶が呼び戻されそうな気さえします。

「日本人の原風景カムバーック!」みたいな。

 

感覚的にマタギは凄いとはわかっていても、理屈や史実、道具類などの資料も一同に集まり、理解を深めることができる機会というのは、本当に貴重だし興奮します。

す、すごいな、この展覧会。
その山熊田のマタギの道具類なども出張して展示される、それがこの特別展『熊と狼』!

 

私はもともと狩猟民が好きな質で、

「マタギと飲み会しようぜ」

という友人ジャーナリストによる魅惑の誘いにまんまと乗ったのがこの地域とのご縁の始まりでしたが、

 

私が来るずーっと前から、山熊田ほか東北を中心としたマタギ文化の調査を長年されてきた研究者・村上一馬氏が

この特別展の企画をされたのもあって、

フライヤー見ただけでも、なんだか猛烈な説得力を予感!

 

冬なのに展示品の事前調査に来られたり。遥々ようこそ村上へ村上さん(9ヶ月前)。

 

 

展示品といっても、現役の道具です。

これは胆分け(熊の胆をみんなで平等に分ける)のときに使う匁秤(もんめばかり)。

 

 

そして今月上旬、いよいよ搬入(貸出)作業に。

さすが本職の学芸員の方々、手際が良い上にものすごく慎重に扱ってくださって、

普段使っているものなのに、あんまり扱いが丁寧なものだから、

「恐縮してしまいます」と言ったら、

「私たちにとっては国宝もこの道具も同じですから」と。

 

あらためてここの文化を大切にしていこうと思わせてくれる、とても粋な言葉をいただきました。

ありがとうございます!

 

 

さて次は、40年ほど前に制作された版画。大物です。

冬に村上さんが来られた際、湿気の低い2階教室へ移動(避難?)しておいたもの。

 

この搬出日の朝に、収蔵先の旧山熊田小中学校の、ボーボーに育ちまくった草を入り口まで刈って、

家まで運び出しました。

中学の卒業制作で熊の解体現場をモチーフにするって、もう、なんというか、参ります。参りました。

 

傷んだ箇所を細かくチェックしたあと、

これもまた丁寧に梱包。

あらゆるシーンで大活躍のこの便利な紙、「薄葉紙」というそうです。

は、初めて知った…。勉強になります!

 

テキパキあざやかに作業は進み、フカフカに梱包された品々と学芸員さんがたは宮城へ戻られていきました。

 

 

どんな展覧会になるのか、ずっと楽しみにしていたその日がとうとう間も無くやってくるなー、と

じわじわそわそわしていたら、

 

熊、罠にかかった、との一報があり現場へ。

 

こんな熊だらけの夏、熊を獲らざるを得ない夏は初めてだそうです。

 

 

というわけで、この秋はぜひ、東北歴史博物館へお出かけくださーい!

トークイベントもかなりおもしろそうです!

 

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